11月18日に食中毒の発生状況を掲載しました。この時はキノコによる死者が1名でしたが今週はO-157の食中毒が発生し始めての細菌性食中毒の死者がでました。
O-157は大腸菌がバクテリオファージ(細菌に感染するウィルス)によってベロ毒素を作る遺伝子を感染させられた物です。ベロ毒素には2種類あり、その内の一つは赤痢菌と同じ毒素です。
赤痢菌のベロ毒素を作る能力は核の中に遺伝子情報として書き込まれていますが、O-157のベロ毒素を作る能力は核の外のプラスミッドというバクテリオファージによって運ばれた遺伝情報として書き込まれています。
このプラスミッドの情報は細菌の増殖とともに遺伝子情報も複製され、次々に通常の大腸菌に感染してゆきます。
細菌もバクテリオファージにやられないように、バクテリオファージの持っている遺伝子を破壊する酵素(制限酵素)でバクテリオファージと戦うことがありますがO-157は完全にバクテリオファージに軍配が上がっているようです。バクテリオファージの中には自分の遺伝子を細菌の遺伝子の中に書き込み何もしない物もいます。赤痢菌の毒素を作る能力ももしかするとはるか昔、バクテリオファージによって書き込まれた物かもしれません。
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