蒸し中華麺に橙色の斑点が沢山できたサンプルが届きました。
通常の培地に橙色の部分から細菌を取り出して培養しても何も生えてきません。そこで顕微鏡で橙色の部分を観察してみると芽胞菌が沢山いることがわかりました。
そうです中華麺は「かんすい」でpHを10前後まで上げてある食品です。そこでpH9の培地を作って培養してみると、橙色のコロニーが沢山出てきました。同定してみるとBacillus alcalophilusです。
各種の殺菌剤で殺菌効果を測定しましたが、ビグアナイド系の殺菌剤のみが殺菌効果を示しました。これはB. alcalophilusが耐熱性芽胞を作る細菌だからでしょう。
蒸し中華麺を作っている工場でふき取り検査を実施したところ、加熱後の冷却水の中に沢山のB.alcalophilusが検出されましたので冷却槽をビグアナイド系の殺菌剤で殺菌しました。
ここの中華麺は冷却された後包装され二次加熱を行っていますが、耐熱性の芽胞を作る細菌であったため生き残った物と思われます。
ちなみにB.alcalophilusはラテン語でアルカリが好きな桿菌という意味です。ふき取り検査にはもちろんpH9程度の培地を使う必要があります。
麺業界の皆様、たまには、アルカリ性の培地で工場チェックをされてみてはいかがでしょうか。
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