先週テレビで市場に出回っているお豆腐のうち遺伝子組み換えでないと表示されているものの半数程度から遺伝子組み換え大豆が検出されるといった実態調査を紹介していました。遺伝子組み換え大豆は混入率が5%以下であれば組み替えでないといった表示ができるからです。
遺伝子組み換え大豆はRoundup Ready(ラウンドアップレディー大豆)と呼ばれるものです。ラウンドアップは 5-enolpyruvyl shikimate-3-phosphate synthetase(EPSPS)というたった一つの芳香族アミノ酸合成経路(シキミ酸経路)の酵素を阻害することにより植物を枯死させてしまいます。
遺伝子組み換え大豆はラウンドアップに耐性を持つアグロバクターのEPSPS遺伝子をカリフラワーのモザイクウィルスの持つプロモーターと葉緑体トランジット蛋白とともに組み込まれたものだそうです。
遺伝子組み換え大豆で発現するものは、ラウンドアップ耐性の酵素一つだけです。この酵素はタンパク質の集まりですので、体内で代謝されて栄養素となります。
この技術を交配で行なおうとすると、自然にラウンドアップ耐性を獲得している突然変異の大豆を見つけてきて、通常の大豆と交配させてラウンドアップ耐性の子孫を作り、ラウンドアップ耐性大豆の耐性以外の遺伝形質を取り除くために戻り交配を10世代程度行なってやります。すると理論的にはラウンドアップレディの遺伝子組成に非常に近い非組み替え体を作ることになりますが、10年以上の歳月がかかります。
安全である遺伝子組み換え技術ですが、交配ができない種の遺伝子を組み込む行為が我々人間に与えられて良いのか少し疑問です。
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