HACCP(食品の危害分析と重要管理点)を導入する食品工場が増えていますが、微生物面でHA(Hazard Analysis)を行う場合、まず工場内微生物が耐熱性かどうかの判定が必要になります。ここまでは、通常の食品工場で考えられている物と思いますが、食中毒細菌を考える場合、毒素型の食中毒の毒素の耐熱性を検討し、耐熱性毒素を生産する食中毒菌の加熱前の汚染を検査する必要があります。耐熱性毒素を生産する毒素型の食中毒細菌は黄色ブドウ球菌と毒素型セレウス菌です。ブドウ球菌は大手乳業会社の大型食中毒で比較的知られていますが(100℃で30分安定)、毒素型セレウスの毒素も120℃で60分間安定です。毒素型のセレウスは嘔吐型の食中毒を起こします。セレウスのエンテロトキシン検出キットは感染型のものしかありませんので、またシャーレ上では毒素型と感染型のセレウスの判定は困難です。まずはセレウスと黄色ブドウ球菌、耐熱性細菌が検出されない加熱前工程を作ることが必要です。
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