クリックすると拡大します。
これは枯草菌(Bacillus subtilis)のα-amylaseを作る遺伝子です。インターネットから拝借してきました。本当は枯草菌の様な発育の旺盛な菌の遺伝子をほかの菌に組み替えても意味がないのですが・・・・・
それぞれ3コの塩基(コドン)がアミノ酸に対応しています。開始コドンと終了コドンは決まっていて、開始コドンはメチオニンに対応しています。酵素遺伝子本体を黄色の長い帯で現わしていますが、その前に開始コドンが少し離れてあります。この開始コドンと酵素遺伝子本体の間をリーダーペプチドと呼びます。酵素遺伝子本体は終了コドン(TGA)の部分で終ります。
リーダーペプチドは酵素の発現を押さえており、菌の身体からα-amylaseが菌体外に出てゆくときの先導役をします。アミラーゼアミノ酸の帯が糸とすると菌体を通るときの針の役目をします。そして菌体外に出た時点でアミラーゼと分離してアミラーゼが菌体外で働くようになります。糸と針が離れる位置はだいたい決まっており小さなアミノ酸の部分が切断点となっています。このアミラーゼの場合Ala.Ala.Serの部分が該当します。(後日追加:切断点と酵素遺伝子の相田はプレプロ蛋白と呼ばれ最終的にはここの部分も切断されますが酵素によっては切断のメカニズムが分っていません。)
こうしてだいたいのアミラーゼ遺伝子がわかるとその部分をお待ちかねの制限酵素で切断してやります。(後日追加:切断しなくてもPCR増幅ができます。)切った遺伝子片はPCRという遺伝子増幅器で増やしてやります。PCRは温度コントロールをするだけの簡単な機械で安価ですが、ポリメラーゼ連鎖反応を引き起こし、遺伝子を増幅させるノーベル賞技術を使ったものです。
その後簡単には、染色体外の非常に小さな円形遺伝子(プラスミッド)も制限酵素で切断してやりアミラーゼ遺伝子をプラスミッドに挿入してやるのです。この部分で本当は切ったりはったり削ったり、入った事を薬剤耐性遺伝子を一緒に組み込んで確認したり、といった作業が必要になるのですが、こうした作業はフレッシュな頭の柔らかい研究者に任せてしまいます。
こうしてできあがったプラスミッドを大腸菌の中に入れてやります。手っ取り早いのは大腸菌とプラスミッドを混ぜてやり電圧をかけ大腸菌に穴をあけるエレクトロポレーションといった物騒な手段で大腸菌にプラスミッドを挿入し、大腸菌を培養すると培養液の中にα-アミラーゼが出てくる事になります。こんな事を遺伝子工学の世界では行っているのです。
辛気くさい仕事ですね。おっと失礼。遺伝子工学で生計を立てている皆さん頑張っていいものを作ってくださいね。